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2015年03月18日

アジアインフラ投資銀行(AIIB)構想について考える

以前から私が注視してきたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立の動き。

ここ数日、イギリスを皮切りに、ドイツ、フランス、イタリアが参加を表明したとの報道が見られます。

 

中国がAIIBの設立を主導する背景には、

 

・成長著しいアジアにおける投資ニーズとビジネス機会が存在すること、

・既存の国際金融機関であるアジア開発銀行(ADB)の資金だけではそのニーズに十分に応えることができない。にもかかわらず、日米主導のADBでは中国の発言力増大につながる増資には消極的であること、

・ADBのみならず、IMFにおけるSDR(特別引出権)の通貨バスケットへの人民元追加が遅々として進まないことなどを背景として、戦後の欧米主導のブレトンウッズ体制に対抗していく政治的な意図が垣間見られること、

・習近平体制が提唱する、いわゆる「一帯一路」構想の一環としてAIIBという装置が必要とされていること、

・中国包囲網とも見えるTPP交渉が漸進する中、中国を核とする経済圏の構築を急ぐ必要があること、

など、様々な事情や思惑があると考えます。

 

足元の米国の政治力に陰りが見える中で、「アジアにおける経済的利益 > 米国と歩調を合わせる政治的利益」という構図が顕在化したのが本件だと考えます。

欧州に続き、韓国やオーストラリアも期限とされる今月末までに参加を表明するのではないかとの憶測が流れる中で、日本と米国が孤立しているとの声も広がりつつあります。

米国内においても、AIIBと距離を置くオバマ政権のスタンスに対する批判が一部識者から発せられています。

 

米国とともに、我が国がAIIBの設立や参加に対して消極的な理由としては、

・国際開発金融機関であるADBが既に存在しておりAIIBをあえて設立する必要性は乏しい

・AIIBのガバナンスの弱さ(常任理事会の設置が想定されていない)に対する懸念、

・結果として、融資における環境・社会配慮を定めたセーフガードが、ADBに比して緩くなり、借入国の環境等が悪化するリスク、

・借入国のキャパシティを超える乱雑な融資が横行すると、ADBを含めた他の債権者に損害を与える恐れ、

といった点が公式に表明されています。

 

こうした問題意識は私も共有しますが、これに加えて、私としては、

・ただでさえ東アジアの勢力均衡が図れていない状況の中で、他のアジア諸国が中国に追随することにより、(我が国にとっての)地政学的リスクが増加するのではないか。

・(宇宙を除けば)最後のフロンティアであるアフリカにおいて、ここ数年中国との関係構築に熱心な英仏等の旧宗主国によるレバレッジが効いて、中国による影響が更に強まるのではないか。すなわち、AIIB=「Asia and Africa」 Infrastructure Investment Bankとなるのではないか。

という懸念があります。

 

そして、何よりも、AIIBという装置を通じて、中国がドル基軸体制に挑戦する意図を強く感じます。

 

まず、現時点では、AIIBの原資がどうなるか判然としません(出資国債?)が、いずれにしてもこれまで中国が為替介入の結果生じた外貨準備の大半を米国債で運用している中で、今後外準を用いてAIIB案件に投融資していくとなると、米中の相互依存関係が解消していくことになります。現在、微妙なバランスの上に成り立っている安定が崩れることが我が国を取り巻く環境にどのような影響を与えるのか、冷静に分析する必要があります。

 

また、中国が数年前より、イギリスを筆頭に、決済を含め、人民元による海外取引を徐々に認めてきている動きの中で、国際通貨としての人民元の存在感が急速に増しています。本当の意味での国際通貨になるには、資本取引の自由化など、まだまだ克服すべき課題は少なくありませんが、いずれ、ドル、ユーロに並ぶ基軸通貨の一つとして位置付けられる可能性はありますし、そうなると、シニョレッジ(通貨発行益)や取引コストの低下などの恩恵を享受することになり、まさに「人民元ブロック」が形成されることになります。そうなれば、勿論、円の存在感は今よりも失われることになるでしょう。

 

引っ越しできない関係にある隣国が経済成長を遂げること自体は、私は決して悪いことではないと思います。しかし、現在のように覇権主義的な臭いを漂わせる中での中国の動きは東アジアの緊張を高める方向へと働くのではないかと危惧しています。

中国は、対外的な視点のみならず、2040年には現在の我が国と同様の高齢化社会を迎えると推測される中で、国益を最大化し、国家を維持するための中長期の戦略を巧みに実行に移していると私は感じています。

こうした中で、本件を含め、我が国として国益をどう確保し、追求していくべきなのか、そしてその大前提となる東アジアの緊張を抑制していくためにどう行動すべきなのか、中長期の戦略を早急に編み出し、実行しなければならないとの危機感が更に強まりました。

 

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2015年03月13日

地方創生について

こんにちは。
小林鷹之です。


衆議院議員2期目として臨んでいる通常国会では、平成27年度予算の審議が佳境に入っています。私も予算委員会(NHKで放映されている委員会)の委員に任命され、経済成長と財政健全化の両立を図るべく予算審議に臨んでおります。

様々な政策課題の中で、とりわけ政府、与党が最重要課題として取り組んでいるのが「地方創生」です。
地方からの人口流出と東京への一極集中が進む中で、このままいくと地方からの人口減少が加速し、最終的には無人の市や町が出現するという危機感があります。
地方の人口減少に歯止めをかけるためには、地方に活力を取り戻す必要があります。
そしてそれを実現する手法は、国が自冶体に対し、全国一律のやり方を押し付けたりお金をばらまくといった従来の方法ではなく、自ら知恵を出し、汗をかきながら本気で頑張る自治体を支援する方法へと転換する必要があります。

そもそも、この「地方創生」という考え方は目新しいものではありません。今から遡ること約35年前、大平正芳総理(当時)の時代に幅広い分野の専門家が集い、まとめられた「田園都市国家構想」において、まさに同様の問題意識と主体性ある地方の活性化の必要性が指摘されています。

35年間何故このことが実現されなかったのでしょうか。勿論、将来の人口減少に対する危機感が薄かったことも一因でしょう。加えて、安定成長期とはいえ、1980年代のバブルに向かう過程や、その後の失われた20年間の我が国の経済、政治情勢の不安定化の中で国にも各自治体にもそこまでの意識を徹底する余裕がなかったのだと思います。
安倍政権になって、様々な評価はあるものの、一定の支持率を維持する中で、ようやく腰を据えて「地方創生」に取り組める環境が整いました。

今後、具体的な施策を進めていくことになりますが、先般のプレミアム付商品券のようなものは短期的には地域の消費を喚起し得るとしても、地方創生の本質とは異なると私は捉えています。

地方「に」金を。
地方「に」人を。
地方「に」仕事を。

こうした地方分権的な考え方は、一見正しそうに思えます。しかし、私はより中長期的に地方が活力を生み出すには、

地方「で」人を育み、
地方「で」仕事を創り、
地方「で」金を稼ぐ

という視点に基づく政策が必要だと考えます。

先週、予算委員会地方公聴会で島根県に赴き、まちづくりに真剣に挑む方々と意見交換を行いました。その中で、隠岐島海士町(あまちょう)の島根県立隠岐島前(どうぜん)高等学校魅力化コーディネーターの岩本悠さんからもお話を伺いました。今や海士町と言えば、街づくりの代名詞となっています。山内町長の口癖は「街づくりに必要なのは『やる気』ではなく『本気』だ」そうです。
街づくりを「やりたい」という首長は多勢いても、「本気」の人は少ない。そんな考え方を持って、「ないものねだり」ではなく「あるもの探し」をする姿勢で、隠岐牛、サザエカレー、岩ガキ春香等様々な名産品を産み出しています。

そして何より教育方針が素晴らしいと感じました。「ない」ことの価値に目をつける。コンビニがない、便利さがない。これを逆手にとって、不便だからこそ、生きていくために本当に必要な力を身につけることができると捉え、島の年配の方から生きた知恵を学び故郷への愛を育む教育をしています。
一方でICTを活用し、島にいながら海外の高校生などとのコミュニケーションを図る。こんな教育に魅力を感じた生徒が国内外から島に集うようになり、刺激も生まれ、入学者も進学実績も飛躍的に向上しています。

岩本さんの考え方は、島から東京に出てまた戻って来いというのではなく、むしろ世界を思う存分経験してから戻って来い。ブーメランと同じ。中途半端に投げても途中で落下し戻って来ない、思い切り投げればやがて戻ってくる。
「仕事がないから故郷に戻らない」のではなく「故郷で仕事を創りに戻りたい」という意識を身に付ける教育をしています、と断言していました。

ピンチをチャンスにかえる。

そんな自治体が次々と出てくればいいなと思います。そして、そうした環境づくりに国会議員として尽力してまいります。
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