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2019年10月10日

タクシーの運賃改定の是非を通して考えること

 

先日、自民党タクシー・ハイヤー議員連盟の総会が開かれ、運賃改定について添付の決議をした上で、同日、衛藤消費者担当大臣に要望活動をしてまいりました。

 2019.10タクシー議連 決議

今般の消費税率の引き上げ時に向けて、全国の多くの地域において、タクシー運賃の改定について関係者の協議会を立ち上げ、検討が行われてきました。その主な内容は、消費税率の引き上げに相当する運賃の改定に加え、近年のタクシー業界を取り巻く環境変化に起因する改定(実質改定)を行うことに関するものです。

 

訪日外国人の増加(インバウンド)に伴う外国語対応や、これから進むであろうMaaS(「マース」。モビリティ・アズ・ア・サービスの略。)への対応、これまでの(消費税率の引上げを含めた)運賃改定のたびに行うメーターのチップの交換など、タクシー業界による設備投資額は引き続き増加していくでしょう。

また、政府が主導する働き方改革に伴い、労働時間が制限される中で、歩合制で働くドライバーの方の収入にも制約がかかることになります。結果として、ただでさえ厳しい人手不足の状況に拍車がかかり、人材確保のために処遇の改善も必要となってくるでしょう。

 

こうした中で、今回の消費税率引き上げに合わせたタクシー運賃の実質改定は見送られることとなりました。理由は、消費者庁を含めた複数省庁から、実質運賃の改定については「慎重であるべき」との回答が寄せられたからと聞きました。

しかし、例えば、北海道においては、同じ公共交通機関であるJR北海道については、この度、実質改定の引き上げが認められたとのこと。赤字経営であることは、中小・零細企業が殆どの北海道のタクシー業界も同じです。今回のような実質改定を認めないとすれば、特に、地方において、高齢者を含めた住民の方々の「足」を確保し続けることはますます困難になっていくものと思われます。

 

確かに、利用者(私もその一人ですが)の立場からすれば、同じサービスを享受するのであれば、一円でも安い方が良いに決まっています。しかし、その事業の継続が困難になれば、私たちが利用することができなくなる。サービスが提供されなくなるわけですから当然のことです。

 

世の中は消費者や利用者だけで成り立っているわけではありません。生産者、流通業者、廃棄業者等々、様々な関係者が存在します。これはタクシー業界に限ったことではなく、例えば、おいしく、安全な農産物を提供していただきながらも、価格の低迷が続く、我が国の農業もその例にもれません。

 

多くの関係者の方々がその努力に見合う適正な価格がついてこそ、社会はしっかりと成り立っていく、その当たり前のことをしっかりと肝に銘じつつ、これからも活動を続けてまいります。

 

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2019年10月8日

通貨安全保障について ~「リブラ」と「中央銀行デジタル通貨」から見えてくる景色~

私が政治家として大切にしていることは、当然のことながら「国益」です。

 

究極の国益は、国民の生命と暮らしを守り抜くことだと考えますので、国家の根幹となる戦略は経済戦略と安全保障戦略です。そして安全保障は、いわゆる防衛省・自衛隊が担う狭義の「安全保障」だけではなく、より広く、エネルギー、食料、技術など「経済安全保障」として広く捉える視点が必要です。

 

 その中で、以前から主張し続けている「通貨」に関する安全保障の視点から、Facebook社が推し進めようとしているリブラ、また、中国が研究を進めているデジタル通貨について、私の基本的な考え方を記します。

 

 私が、「通貨安全保障」にこだわるのは、過去1世紀を振り返った時に、パクスブリタニカからパクスアメリカーナ、すなわち、世界の覇権が英国から米国へと移行した背景にあった事象の一つが、スターリングポンドからドルへの基軸通貨の交代があったからです。1944年にブレトンウッズ体制、そして金ドル本位制が確立し、アメリカの覇権は確立されたと考えます。

 

 基軸通貨国の特権とは何でしょうか。

 

為替リスクを回避することなど、様々ありますが、特に重要なことは、シニョレッジと呼ばれる通貨発行益です。(通貨発行益の定義も複数ありますが)例えば、米国は自由にドル紙幣を(ほぼ無料で)印刷・発行し、これを貸し付け、その利息収入を得ることができます。もちろん、他国も自由に自国通貨・紙幣を発行することはできますが、過度に発行し過ぎるとインフレを招き、通貨・紙幣の価値が減じますので自ずと制約があるわけですが、基軸通貨は世界中に大量に出回っていますので、その制約が緩い(=より自由に)通貨・紙幣を発行し、莫大な利益を手にすることができます。

 

 この他にも、例えば、現在、原油取引はドル建てで行うのが通常です。米国はドル建ての取引をコントロールできるので、こうした力を使って経済制裁などを行うことも可能になります。

 

 近年、米国の覇権に対し、経済力・軍事力を伸ばしてきている中国が挑む構図となっていますが、その一環として、「人民元の国際化」を謳いつつ、基軸通貨としての地位を享受してきたドルに対して挑んでいこうとする国家意思を私は感じています。まさに、一帯一路の構想が示される中で、AIIB(アジアインフラ投資銀行)の設立とともに、国家ファンドであるシルクロード基金が設けられた時にその意思を強く感じました。現在、順調に進んでいるか否かは別として、同基金はAIIBと異なり、主に人民元建てです。ここに国家としての隠された、しかし、強い意志を私なりに感じた次第です。

 

また、2016年にIMF(国際通貨基金)のSDR(特別引出権)のバスケット構成通貨に、従来のドル、ユーロ、円、ポンドに加えて、人民元が国際政治上の力学により追加されたことで、いずれドルに対抗していくとの国家意思が表面化したと思います。

 

 しかし、人民元を基軸通貨とするといっても、クリアしなければならないハードルがいくつもあります。まず、大きなハードルは資本規制の自由化。経済学上、国際金融のトリレンマという理論があります。これは、「自由な資本移動」と「為替相場の安定(≒固定相場制)」と「独立した金融政策」のうち、二つは両立できても、三つを鼎立することはできないというものです。

 

 基軸通貨になるためには、中国は、変動相場制に移行し、自由な資本移動を認めなければならないのですが、資本流出と人民元安を危惧する中国当局はなかなかそのハードルをクリアすることができません。かなり前から、中国のオピニオンリーダー的存在でもあった周小川 前人民銀行総裁が「2020年までに資本の自由化を実現する」と言い続けてきましたが、現時点では、その実現は相当困難だと言わざるを得ない状況にあります。

 

 そうした状況の中で、Facebook社が「リブラ」を発明。具体的な設計までは公表されていませんが、ドルやユーロなどのハードカレンシーのバスケット制によりその価値を担保するという意味で、価値に関して何の裏付けもないビットコインなどとは異なります。しかし、こうした「通貨」が広く流通するようになると、従来型の銀行による信用創造機能の低下等、様々な問題が生じうるのみならず、各国政府・中央銀行によるコントロールが効かなくなる可能性が出てきます。特に、基軸通貨であるドルの相対的な価値・力は減少するはずです。そして、上述の通り、基軸通貨ドルの力の減少は、米国の経済力・軍事力の減少とパラレルに捉えるべきです。

 

 また、リブラの登場は、2014年から中銀デジタル通貨の研究を始めていたとする中国にとって脅威であり、デジタル人民元の登場を加速させることになるかもしれません(ここで詳細は論じませんが、中銀のデジタル通貨といっても、様々な形態や目的があります)。デジタル人民元が広く中国の国内外に流通するには克服しなければならないハードルは多々あるにせよ、仮に実現すれば、利便性が高いものになることは間違いないでしょうから、途上国の中には、自国通貨を捨て、人民元に移行する国が出てこないとも限りません(現実に、今でもエクアドルなどはドルを採用しています)。その蓋然性をどう見るかは人それぞれでしょうが、仮にデジタル人民元が広く流通するような状況になれば、基軸通貨ドルとの相対的な力関係は大きく変わるでしょうし、経済安全保障上も大きなインパクトが生じるに違いありません。

 

 こうした状況の中で、わが国として、どのような対応をとるべきなのか。

 

もちろん、日本円がこうした役割を多少なりとも担えれば良いのでしょうが、1990年代のAMF(アジア通貨基金(アジア版IMF))構想が諸事情により頓挫して以来、なかなか現実的でもありません。だとすると、少なくとも当面はドルが基軸通貨であり続けること、そして、いずれドルの基軸通貨としての力が減少していくとしても、そこに至るまではできる限り時間をかけることが、私は日本の国益にかなうと考えています。

 

 こうした視点に立って、リブラや中銀デジタル通貨への対応という政策課題に向き合ってまいります。

 

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<p><!– レスポンシブに対応していない為、非表示にしています。2017年10月23日佐野
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