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2019年04月27日

通貨政策には複眼的かつ中長期的な視点が必要 ~だからこそ日本版NECを~

来週、フィジーで開催されるADB(アジア開発銀行)総会に合わせ、ASEAN+3(日中韓)の財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されます。その会議で、チェンマイ・イニシアチブ(CMIM)を強化する方策としてアジア各国の現地通貨を用いることが議論される予定であると報道されています。

 

CMIMとは、1997年のアジア通貨危機の経験を踏まえ、金融危機時にアジア域内の各国間で基軸通貨である米ドルを融通し合う目的(いわゆる通貨スワップ)で、2000年に構築された仕組みのことです。

(財務省HPより抜粋) CMIM

 

今回の報道が事実であれば、金融危機時に融通する通貨として、米ドルに加え、日本円や人民元も加わることになります(その他の現地通貨については、金融危機時のニーズは殆ど無いと考えられます)。

 

報道の中には、日本円が通貨スワップの対象として加わることは、日本企業の経済活動の安定につながるとの肯定的な見方を示しているものもあります。確かに、それは一面真実だと思いますが、他方で、広い意味で日本の国益とは何かを冷静に考える必要があると私は思います。

 

恐らく、今回、CMIMの対象通貨として現地通貨を加えるとの提案をした国は中国であると推察します。何故なら、今回の提案が実現することによって最も恩恵を受けるのは中国であり、また、人民元の国際化を標榜する中国の国家戦略とも合致するからです。

 

そもそも金融危機時にどの外貨が使われるかは、その外貨を必要とする国と提供する国との「自発的な意思」に基づいて決定されることになりますが、仮に、外貨を必要とする国が特定の国に経済的に依存している場合、その国から自国通貨を選択するようプレッシャーをかけられる可能性も排除できません。

 

既に基軸通貨ドルがCMIMの対象とされている中で、今回の提案が実現しても日本円の使用割合が大きく増えるとは思えませんから、その意味で日本へのメリットはさほど大きくないと思われます。

 

むしろ、人民元の国際化と脱ドル依存の動きを後押しすることを通じて、米ドルと人民元との相対的な力関係を変え、米ドルの基軸通貨としての地位を弱める結果になると思います。こうした動きは、本件以外にも、例えば、米国の対イラン制裁を受けて、中国、ロシア、欧州などが原油取引に通常使われる米ドルを介さない仕組みの検討を開始していることなどにも見られます。

 

基軸通貨としての米ドルの地位の低下。

そのことが何を意味するのかは歴史が示唆しています。

 

かつてのパクス・ブリタニカからパクス・アメリカーナへの覇権の移動は、1944年のブレトンウッズ体制の構築を含め、基軸通貨がスターリング・ポンドから米ドルへと変化したことにも一因があると見るのが自然です。

 

かつて日本も1990年代にアジア通貨基金(AMF)構想(アジア版IMFのようなもの)を提唱し、円の国際化を強力に推進しようとしましたが、こうした動きを警戒した米国の反対で頓挫したことはよく知られているところです。一方、同じ域内の中国も反対したことはあまり知られていません。

 

いずれにしても、現在は基軸通貨としての地位を確立している米ドルではありますが、中長期的に見れば、人民元の国際化の進展(これについてもクリアすべきハードルはまだまだ多いですが)と共に、米中の通貨の持つ力の格差は縮小していくと考えるのが自然であり、そのことが国際社会における米中のパワーゲームへの影響を通じ、結果として、我が国の国際社会での立ち位置にも影響を与えることになると考えます。

 

今回のASEAN+3財務大臣・中央銀行総裁会議で議論される予定のCMIMへの現地通貨を加える提案についても、おそらく、国内では財務省と日銀のみが政策決定をしているはずです。しかし、既述の事情に鑑みれば、これは純粋な通貨・金融政策ではなく、広義の安全保障を含めた複眼的かつ中長期的な視点から検討されるべき話です。

だからこそ、経済安全保障の司令塔となる日本版NEC(National Economic Council=国家経済会議)のような組織が必要であるとの思いを改めて強くいたします。

 

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<p><!– レスポンシブに対応していない為、非表示にしています。2017年10月23日佐野
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