バーゼル銀行監督委員会の議論について

久しぶりのブログ更新になりました。

今日は財政再建について一言。

政府が財政健全化の中期計画を今月末までに策定・公表するため、与党との議論が最終局面に入っています。

2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向けて、歳出抑制と経済成長による税収増とのバランスをどうとっていくという議論がなされています(先般の国政報告『小林鷹之からの手紙 Vol.24』もご参照ください)。

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その中で、私が懸念しているのは、バーゼル銀行監督委員会という場で行われている、金融機関が抱える資産等の金利リスクの評価に関する議論の動きです。

事の性質上、やや専門的・技術的な話になってしまいますが、懸念する点を端的に申し上げれば、この議論の決着の仕方次第では、金融機関が国債を保有することに事実上のペナルティが課される(保有するインセンティブが減じる)ことになり、結果として、①我が国金融機関の貸出が減り、景気回復の動きに水を差しかねないこと、②長期金利が跳ね上がりやすい環境が生まれ、財政負担が増加しかねないと考えます。

 

金融庁の公表資料によると、現在のバーゼル委員会における検討は「銀行の国債保有に焦点を当てたものではない」と強調されています。

確かに、本検討は、金融機関が保有する国債だけを対象としているわけではなく、住宅ローン債権なども対象にされているのは事実。

しかし、これまでリスクフリー(リスク無し)とされてきた国債に対しても一定のリスクを見込むことになるわけですから、その分、金融機関は分厚い資本を積むことが求められますので、上記①のような結果をもたらすことになります。

加えて、金融機関は取引の担保として一定量の国債を持っておりますが、その保有国債にリスクを見込むとなると、できるだけ残存期間の短い短期の国債を持つことを選好することになると考えられます。

つまり、長期国債を金融機関が保有しにくくなり、いわゆるイールドカーブが急になり、長期金利が上昇しやすい環境が生まれると思います。

 

バーゼル委員会では、こうした動きを進めようとするイギリス等の金融監督当局に対し、日本の金融監督当局が米国と連携しながら、我が国のスタンスをしっかり主張してきていると評価していますが、予断は許しません。

財政再建を進めていく際には、こうした海外の動きにまでアンテナを張って、様々な角度から検討を加えていく必要があります。

これから市中協議(パブコメ)が開始されることになり、我が国金融機関からも国益を踏まえたコメントが出るものと期待していますが、政治の立場からもしっかりとサポートしていきたいと考えます。

 

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