国際結婚と子の奪取について

こんばんは。
小林鷹之です。
最近、乾燥しているためか、静電気がバチバチ走ります。
チクリとすることが分かっていながら、金属を触らなければならないのは嫌ですよね・・・
さて、先日の報道で、政府がハーグ条約の加盟に向けて、副大臣クラスの会議を設置する方向を固めたとの記事がありました
ハーグ条約の正式名称は、「国際的な子の奪取の民事面に関する条約(Ha
gue Convention on the Civil Aspects of International Child Abduction)」。
国際結婚をした夫婦の間で子供の親権について争いが生じた場合、子供を元々住んでいた国に戻すという取り決めです。
欧米の多くの先進諸国が批准する中で、日本は批准していないんですね。
例えば、アメリカ人の男性と日本人の女性が国際結婚し、子供とともにアメリカに住んでいるとします。
ところが結婚が破綻し、日本人女性が夫に無断で子供を日本に連れて帰ったらどうなると思いますか?
日本はこの条約に批准していないので、一度日本に連れて帰ってしまえば、それまでです。
私がアメリカで暮らしている時も、類似の事件が生じました。
アメリカ人の父親は、手をこまねいていても何も起こりませんから、子供を力ずくで取り返そうと日本に来たわけですね。
日本の警察は、この父親を逮捕しました。
しかし、アメリカはこの条約に批准しておりますので、日本人女性が子供を無断で日本に連れ帰る行為は誘拐(kidnapping)とみなされるんですね。
私が勤務していたワシントンの日本大使館前でもアメリカ人による抗議がありました。
米メディアでは日本人女性が一方的に悪者にされていました。
一つの行為を、条約に批准している国としていない国とでは、こんなにも捉え方が異なるものなのか、と驚きを覚えました。
文化の違いも大きいと思います。
これまで、日本政府としては、家庭内暴力(いわゆるドメスティックバイオレンス)が原因で国際結婚が破綻した場合、必ずしも元の居住国へ子供を返すことが適切ではないケースが多々あることから、欧米諸国からの批判にさらされつつも、条約の批准に慎重な姿勢をとってきておりました。
しかし、今回にわかに菅総理が批准に向けて前向きな姿勢を示したのは何故なのでしょうか。
一部メディアの報じるところによれば、普天間問題等でこじれた日米関係の修復の一環として、今回の判断を下したようですが、本当にそうだとすれば明らかにおかしい。
確かに、外交は、あらゆる分野における貸し借りをどんぶり勘定する面があることは否定できない事実です。
そして、この1年の間に日米関係が揺らいだのも、外交を国内の政争の具に用いた日本政府側に大きな原因があるわけで、アメリカに借りを作ったのも事実です。
しかし、この借りは、普天間問題の解決によって返すべきだし、それ以外の方法では返すことができないと思います。
普天間にせよ、中国漁船の衝突事件にせよ、日本は極めて大きな国益を損ないました。
それは、理念や主義を欠いた、場当たり的で無責任な外交政策をとる国であるという汚名を着せられたこと。
今回の件についても、慎重な検討無くして、弱体化した日米関係を取り繕うために、問題の本質から目を逸らし、性懲りもなく対症療法的な政策対応を行うとすれば、この国は国際社会において、理念や主義主張を欠いた、本当にいい加減な国だとみなされてしまう。
しっかりと議論をした末での条約批准であればいい。
でも、今の菅総理の対応はそうは見えない。
筋が通った、毅然とした外交を取り戻さないと、国際社会において失われた信用を取り返すことはできないんです。
菅総理にはこの点をもっと真剣に考えてほしいと思います。
下記は、先週末に行われた陸上自衛隊習志野駐屯地での空挺団による初降下訓練の模様です。
命懸けで国を守ってくれている方へ心から敬意を表します。
そして、守るに値する国にしなければなりません。
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