平成24年度政府予算案に関連して
こんばんは。
小林鷹之です。
昨日はクリスマスイブでしたね。
意外と忘年会が多いことに驚きました。
その合間を縫って、アカチャンホンポに行き、お風呂グッズなど、娘用のサンタプレゼントを購入。就寝後にそっと枕元に置きました。
朝起きたら、楽しそうにプレゼントで遊んでいました。
一歳半の娘がどこまで理解したかは分かりませんが、
「空からサンタさん来たんだよ」
と言うと、窓から空に向けて「バイバイ」と手を振っていました。
そんな笑顔に癒されながら、今日もイベント三昧。
みなさんは、3連休いかがでしたか?
さて、昨日、平成24年度の政府予算案が閣議決定されました。
私自身、財務省でおりましたから、毎年12月24日は、クリスマスイブというワクワク感よりも、命からがら仕事をやり抜いたという安堵感を味わう日でした。財務省の仲間たちにはお疲れ様と言いたいですね。
ただし、今回の政府予算案には大きな問題があったと考えます。
国債依存度が過去最高の49%になったのもさることながら、一番残念だったのは、「年金交付国債」を発行して新規国債発行額を見かけ上抑制したことです。
これは何かと言えば、基礎年金の国庫負担割合を1/3から1/2へ引き上げたことに伴い、歳出が約2.6兆円増加するはずなんですね。
本年度は、いわゆる「埋蔵金」を主たる財源とする税外収入で賄いましたが、もう埋蔵金は残されていません。その結果、来年度は「年金交付国債」で対応することにしたんです。
「年金交付国債」とは何か。
「国債」という言葉をまずは忘れていただいた方が理解しやすいと思います。
一言でいえば、2.6兆円を年金積立金(過去の保険料の積立分)から取り崩して当座をしのぎ、将来、消費増税が実現した際にその分をもって年金特別会計に返済するという仕組みです。
約束手形のようなものですね。
したがって、来年度の歳出には計上されません。
この奥の手を用いたことは、財政が限界寸前であることを意味しているのですが、同時に財務省的な見方をすれば、この点を強調することによって消費増税の必要性を世間に訴える意図が透けて見えます。
確かに、現在の国の財政状況と社会保障制度を考えれば、持続可能性が無いことは明らかなので、増税は早晩避けられない問題だと考えられます。その意味で財務省が消費増税を急ぐ理由は分かります。
しかし、根本的な問題は解決できていないんです。
根本的な問題とは何か。
それは、今、有権者の多くが消費増税の必要性については頭では認識しながらも、心では納得できていない現実を踏まえていないことです。
納得できない理由は大きく二つあります。
一つは、国会議員自身が身を切る覚悟を示せていないこと。議員定数大幅削減ですね。
もう一つは、消費増税の根拠となる社会保障制度の未来の全体像が全く示されないまま、増税の必要性だけが叫ばれているということです。
後者については、今回、社会保障制度改革の素案を見て本当に残念でした。
二年前の政権交代の主役となったマニフェストと同じなんですね。
給付増・負担減をもたらす聞こえの良い「改革」ばかりが羅列され、外来患者の百円負担や年金支給開始年齢の引き上げといった負担増・給付減をもたらす耳障りな改革がほぼ全て先送りされました。
私を含めた若い世代が社会保障制度に対して大きな不安を感じているのは、いつになっても将来像が見えてこないからなんです。
都合の良いことだけを並べ立てる改革素案は、あまりにも聞こえが良すぎて、整合性と持続可能性が無いことが見え見えです。
問題を直視せぬまま「改革案」なるものを示しても、若者の疑心暗鬼を煽るだけです。
これからの時代に政治家がなさなければならないことは、耳障りの良いこと、美辞麗句を並べ立てることではありません。
それであれば、政治家なんて誰がなっても良いんです。
今政治家に求められているのは、耳障りでも必要な改革を有権者に対して説得していく能力と覚悟です。
迎合する政治と決別しなければなりません。
(今年の年末も餅つき三昧です)