インフラシステムの輸出について

この季節は、自民党内の各種政策部会での提言のとりまとめが続きます。

私も様々な会議の事務局として、政策提言のとりまとめや、党幹部への説明などで物理的に走りまわる日々が続いています。

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これから随時、結果を報告していきたいと思いますが、今日はそのうちの一つを記します。

現在、党の経協インフラ総合戦略調査特別委員会(二階俊博委員長)の事務局長を務めております。この特別委員会で、この度、インフラ「システム」の輸出に関する提言をとりまとめ、党の政調審議会で了承いただき、来週、総理に説明する予定となっています。

 

そもそも「インフラ」の輸出については、平成25年の日本再興戦略において成長戦略の柱の一つに位置付けられました。日本企業のインフラ受注実績を2010年の約10兆円から2020年に約30兆円に拡大するという目標を掲げています。

 

ここで重要なことは、これまでのように橋を作る、空港を作る、こうした個別のモノを作ることに加え、システムとしての輸出を加速することです。

より具体的に言えば、案件を形成するところ(いわゆる川上)から建築、その後の運営や維持管理(いわゆる川下)に至るまで一気通貫でシステムとして海外に展開するということです。例えば、鉄道の車両だけを売るというのではなくて、レールも売り、メンテナンスも行い、そして正確な運行システムなどもパッケージで行うイメージです。

 

また、ハードのインフラだけではなく、例えば、人材育成や法制度整備支援など、日本が得意とするソフト面でのインフラ輸出も積極的に行っていかねばなりません。例えば、日本が広範な知見やノウハウを有する防災分野でのシステム・法制度・防災教育、既にモンゴルやタイが導入している高等専門学校(KOSENという言葉が普及しつつあります)の教育システム、母子健康手帳、あるいは、今後各国において高齢化の進行が見込まれる中で我が国の地域医療システムなど、我が国が世界に貢献し、また、結果として、日本の国益に資する分野は枚挙にいとまがありません。

 

こうした動きを加速していくにあたっては、官民の連携が必要不可欠です。

私が外交官として米国で勤務していた時(政権交代前後)と比べると、官民連携が推進しており、隔世の感がありますが、まだまだ改善の余地はあります。

また、「オールジャパンで」とよく言われますが、省庁全体を見た時に、インフラ及びインフラシステムの海外展開のための体制が整っている国土交通省、経済産業省、総務省のような省庁と、案件はあるけれども体制の強化が求められる省庁(例えば厚生労働省や環境省など)とに分かれている状況です。本当の意味でオールジャパン体制でインフラシステム輸出を強力に推進していくのであれば、政府の体制についてもしっかりと見直す必要性を強く感じます。

 

最後に、こうした海外展開は、我が国の経済成長につながれば良いというものではありません。より高次の視点に立った上で、特に我が国の外交・安全保障戦略である「自由で開かれたインド太平洋戦略」に沿う形で進めていくことが求められます。

 

しっかりと提言した以上は、実行されなければ意味がありません。

今後の政府の動きを与党として注視すると共に、議員外交はじめ、政治家の立場でできることを一つ一つ進めてまいります。

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