エネルギー政策に関する国会質疑③(次期エネルギー基本計画の策定に向けて)
前回、前々回のブログの続きです。
先日の予算委員会の分科会で梶山大臣はじめ資源エネルギー庁とエネルギー政策について議論いたしました。
今回は、第6次エネルギー基本計画の策定に向けた質疑部分です。
〇 今年はエネルギー基本計画を改定する年。国ごとに置かれている状況が異なるとの認識に基づいて作業を進めることが重要。1月の寒波については、隣の韓国も覆われた。日本と同様、石炭火力を減らしLNG火力の割合を上げている韓国では、大きな混乱はなかったと聞いている。日本と韓国の大きな違いはベースロード電源による発電の安定性。つまり、韓国:石炭火力と原子力が40%、25%。日本:32%、6%。加えてLNG依存度が、韓国に対して日本がかなり高かった結果であると言える。
〇 また、欧州の電源構成。IEAによると、フランスは原子力が70%以上であるので参考にならないが、イギリスは石炭5%、原子力20%、再エネ33%で、エネルギー自給率は70%を超えているのに対して、日本の自給率は12%。ドイツは、電源割合が日本に近く、自給率もそれほど高くないが、今後石炭と原子力の割合を低減していく方向にあることも日本に類似。ただし、ドイツの場合、欧州の国際送電網の中心に位置するという強みがある。
〇 一方、日本は、海に囲まれていること、石炭、LNGは輸入、そして再エネの設備自給率は、太陽光発電14%、風力発電17%。今後のエネルギー源とされる水素、アンモニアについても輸入が中心。そうなるとますますわが国のエネルギー自給率が低下するので、特に有事の際に、本当に安定供給力ができるのか?大きな不安を感じるのだがこの点についてどう考えるか?
〇 アジアスーパーグリッドなる構想もあるようだが、わが国は安全保障上、国際送電網で大陸とつなぐわけにはいかない。つまり日本は、エネルギーミックスを一国だけで完結させなければならない、という特殊事情がある。自給率を上げつつ、電力源の多様化の必要性は欧州とは比べ物にならないほど大きいことに留意する必要。
〇 わが国は、現時点では、脱炭素電源ではないLNG依存度が高く、原子力の再稼働もままならない中で、総理のCN宣言を具体的にどう実現していくのか。
先日、アメリカCBSの人気番組である60ミニッツでも、ビル・ゲイツ氏がインタビューに答えていた。彼は環境問題提唱者であり、再エネの推進論者。そういう立場にある彼ですら、再エネについては供給力が安定しないため、原子力発電の必要性を説いている。
わが国においてもCNを実現するには、原子力発電が不可欠であり、グリーン成長戦略で、原子力について「可能な限り依存度を低減する」と書いているのはミスリーディング。国民に対して、正面から向き合い、もっと明確なメッセージを国として出す必要がある。
〇 私は、再エネ推進には賛成。しかし、現在、内閣府で行われている規制改革タスクフォースの議事録を見ていると、委員の方から、「風力発電についてのアセスメント基準を大幅引き上げるべき」とやや一方的な議論がなされているように見えることに危惧を覚える。たとえば、太陽光や風力についても、地元自治体との軋轢が生じないような工夫が必要だし、何よりも安定供給に貢献できる責任ある事業者のみが残るようにすべき。規制改革とは、規制緩和だけではなく、規制強化も併せて考える必要があると考える。