プラスチック資源循環推進法案について

 本日、自民党の環境部会・経産部会の合同会議があり、標記法案の審議がありました。「環境」、「資源循環」という言葉がつくと、なかなか異論を唱えにくい面もあります。しかし、レジ袋有料義務化の時と同様、本法案については、ストンと腑に落ちない点が多々あったので、その一部について会合で下記の意見を申し上げました。あくまで国益を確保する視点から、できる限り、提案も交えて前向きに申し上げたつもりです。

〇 今回の法案の主な目的が、海洋プラごみ問題なのかCO2排出量削減なのか、そもそもよく分からないが、海洋プラごみ問題に本気で取り組むのであれば、レジ袋義務化の時にも申し上げたが、もっと本質的な取組をすべき。それは海洋投棄問題。ペットボトルを含めた多くのプラごみが、いまだに日本から東南アジアに輸出されている。量は減ってきてはいるものの、それらが結果としてしっかり処理されずに海に流されている。今回の法案の対象である、ストローやカトラリーのようなワンウェイ(使い捨て)プラスチックがプラごみ全体に占める割合は本当に微々たるもの。そこにリソースを割くよりも、むしろ「自国で出したプラごみは自国内で処理する」というところに踏み込むべきだし、日本の技術を途上国に移転する方が国益や地球益にかなうと考える。

〇 資源循環戦略は良いが、マテリアルリサイクルは、品質の劣化に加えて、コストが高いという問題がある。ペットボトルのようなものはリサイクルすれば良いが、ワンウェイプラスチックのようなものまでリサイクルを推進する必要があるかは疑問。ましてや、こうした方針に従わない事業者に対して命令や罰則の規定まで設けることには大きな違和感を覚える。ワンウェイプラスチックを減らしたいのであれば、コストをかけてリサイクルするよりも、昔のように金属製カトラリーに戻せば良いではないか。ワンウェイプラスチックを使わなければポイントを付ける云々といったような複雑な仕組みを作るのはいかがなものか。

〇 資料を見ると、焼却よりリサイクルを奨励するような形になっているが、本当にそれが正しいのか?誤解を招きかねない。たとえば、ストローやカトラリーを含め、プラスチックは焼却する際に燃焼効率を上げる。リサイクルを進めるのは良いが、焼却に回るものが減った分に相当する熱量を補うために結局は重油などの燃料を投入することになるわけだから、脱炭素という意味ではもっと広い視点に立ち、全体を捉えた議論をすべき。

〇 環境分野はヨーロッパの作ったルールに乗せられている感じがする。しかし、ペットボトルを例にとれば、わが国の使用量は欧州の1/5、リサイクル率は日本の85%に対し、欧州はその半分の42%。国内の取組をもっと頑張ろう!と意気込むよりも、国際会議などの場で、欧州を含めた諸外国に対して、わが国がやっていることをもっと自信をもって強く発信していただきたい。その方がより国益にかなう。また、分別方法、自主回収、再資源化を、仮にここまで徹底するのであれば、ガラパゴスにならないよう、日本方式を国際標準まで高めていく努力を見せるべき。

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