二国間通貨スワップ取極に係る新提案について

久しぶりのブログ更新です。

連休中に横浜でアジア開発銀行(ADB)総会が開催されました。そのサイドイベントとして、麻生副総理が議長を務める日ASEAN財務大臣・中央銀行総裁会議が行われました。

そこで日本政府は、金融危機に陥り短期流動性が失われそうになるASEAN各国に対して、日本が「円」を供給する仕組み(二国間通貨スワップ取極)を新たに提案しました。

ASEANへの日本企業の進出も進む中で、「円」の調達をしやすくすることで域内の金融安定に貢献するもので、私は、非常に評価に値する提案だと捉えています。

 そもそも、グローバルな金融セーフティネットとしては、次の4段階があるとされています。

①IMF(国際通貨基金)

②地域金融取り決め(従来のチェンマイイニシアチブ)

③二国間通貨スワップ取極

④外貨準備

 今回の日本提案は③にあたります。

既に③の取極は存在しますが、ドル建てです。これに円での引き出しも選択的に可能とするものです。

 中国も同様の取り組みを通じ、人民元の国際化を積極的に進めようとしています。ただ、人民元は貿易決済の手段としてはニーズが増えていますが、金融危機などのいざという時に頼れる通貨(ハードカレンシー)としては、アジアでは「円」しかありません。

 やや専門的なテーマでもあるので、思ったほど報道はなされておりませんが、日本がアジア各国、地域の金融安定化のために積極的に貢献することを通じ、良い意味で、アジアにおける日本の存在感を高めていける今回の財務省の提案。

外交は決して外務省だけがやればいいというものではありません。オールジャパンで日本の国益に資する外交を追求していくべきです。

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