今後の水道のあり方について

昨晩のポーランド戦。

試合は負けましたが、グループステージを見事勝ち抜いたということで、結果を出したサムライブルーの選手の皆さんに心から拍手を送ります。

 

さて、本日から衆議院厚生労働委員会にて水道法改正について実質的な審議がスタートしました。今回、私は質疑に立つ予定はありませんが、非常に重要な法案であると認識すると共に、今後の課題も感じておりますので、簡潔に記します。 先般の大阪北部を震源とする地震においても、老朽化した水道管が損壊し、断水状態が続きました。水道は、文字通り「ライフライン(生命線)」です。水道は昭和30年代に主に整備をされております。大阪のみならず、全国的に見ても耐用年数を過ぎた管路が増えてきています。今後、首都直下や南海トラフを含め、大きな地震が起こることが予想されていることに加え、人口減少が進む中で料金収入が減ることも予想されます。

 

こうした中で、特に規模の大きくない自治体においては、多くが赤字経営となっており、インフラの持続可能性をいかにして確保していくかということは非常に重要なポイントです。 この点、今回の改正案では、広域連携が方向性と示されていることは評価できますが、一方で、課題は少なからず存在していると私は感じています。

 

例えば、台帳の整備。いまだに紙ベースで管理されていたり、そもそも台帳に載っていない不明配管も数多く存在することが指摘されています。今後、ビッグデータ等を使った管理も追求していかねばならない中で、質の高い台帳整備は急務です。

 

そして、水道料金。現在、多くの自治体では赤字経営となっています。一般会計から繰り入れを行っているので、見かけ上はトントンとなっているかもしれませんが、人口減少の下、今後、どの自治体であっても、事業運営がさらに厳しくなることが予想される中で、早晩、料金の引き上げの決断を迫られる局面が来ると思います。 水道料金の引き上げは自治体の首長にとっては政治的に容易なことではないことから、従来、多くの自治体において料金の引き上げというものはなかなかなされてきておりません。したがって、今後、仮に料金引き上げを行っていく場合には、多くの利用者への説明責任を果たし、理解を得ることが不可欠です。しかし、人口3万人以下の小さな自治体においては、複式簿記を用いた、いわゆる「公営企業会計」を導入している割合は約25%。これでは事業運営の実態が分かりにくい。総務省にはこの点、頑張っていただかねばなりません。

 

また、改正案のもう一つのポイントは、公有民営、いわゆるコンセッションを選択肢として設けることです。民間の知見を活用して、効率的な事業経営を可能にしていこうということで、この方向性は評価できますが、民間事業者としても水道事業に参画していくためには、更なる工夫が必要だと私は思います。

例えば、既に事例が増えつつある、空港のコンセッションであれば、ターミナルビルのテナント収入等で利益を生むことが可能です。したがって、私は、浄水場等の施設内の余った土地の利活用を認めていくべきだと思います。この点、自民党の会議などの場で厚生労働省に提言すると、「今後検討してみます」との声が返ってきますが、制度だけ作っても使われなければ全く意味がありませんから、政府にはより積極的な対応を求めます。

 

更に、水道は、ライフラインでありますから、安全保障の観点からの検討を十分に行うべきです。既に、水メジャーとされる仏企業のヴェオリア社などが日本のマーケットに参入してきています。インターネットとモノがつながる、いわゆる「IoT」が進む中で、日本の水道管理をフランス国内にいながら行える時代です。ヴェオリア社がどうこうという話ではありませんが、ライフラインを外国企業に委ねることのリスクについて深い理解が求められることは言うまでもありません。

 

最後に、政府のインフラ輸出戦略においても、水道システムの海外展開が盛り込まれていますが、政府における体制強化を行うことなしに、海外展開を声高に唱えても絵に描いた餅で終わります。以前も、ブログに記しましたが、水道というインフラシステムを本気で海外に輸出していくにあたっては、現在の厚生労働省を始めとする関係者の体制では現実的には厳しいと思います。本当の意味でオールジャパンとして売り込んでいく体制を作れるかが大きな課題であると認識しています。

 

本件に限らず、法律改正をすれば、すべての課題が一気に解決されるものではありません。大切なのは、時間をかけてでも、一つひとつ課題を着実に解決していくことですので、今後も政策立案に地道に関与していくつもりです。

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