南北首脳会談についての所感
南北首脳会談についての所感~追い詰められているのは北朝鮮。引き続き毅然とした外交を~
韓国と北朝鮮の両首脳が会談し、板門店宣言が発出されました。
この宣言を見る限り、現時点で特段評価すべきことはないように思います。より正確に申し上げれば、米朝首脳会談までその評価は保留せざるを得ませんが、今回の会談についての私の私見を以下に述べます。
今回の一連の流れの中でメインプレイヤーは北朝鮮と米国ですから、南北の首脳会談にはそもそも過剰な期待はしていませんでしたが、拉致問題に加え、非核化に向けた具体的な言及が全くなかったということは留意すべきことです。
また、南と北は完全な非核化を通じて、核のない朝鮮半島を実現することを共同の目標とするとのことですが、そもそも北朝鮮の考える「非核化」「核のない朝鮮半島」とはどういうことなのか。在韓米軍や韓国軍には核兵器はないという理解ではありますが、仮に北朝鮮が在韓米軍の撤退と意味しているとすれば、我々の考える「非核化」とは大きなギャップがあることになります。
そして、休戦協定締結65周年となる今年に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し…ということですが、「非核化」について具体的は言及がない段階で、融和的な姿勢を前面に打ち出し、こうしたカードを早々と切ってしまう韓国政府の姿勢に、私は大きな違和感を覚えてなりません。
最後に、メディアや識者の論調の中には、今回の首脳会談の結果を見て、「日本は置き去りにされるのではないか」とか「蚊帳の外に置かれているのではないか」との懸念も散見されますが、私はこうした見方は的を得ていないと考えます。
確かに、今回の板門店宣言にも、「南・北・米の3者」か「南・北・米・中の4者」の会談を積極的に開催していく旨記載されています。
しかし、これまで北朝鮮に対する制裁(圧力)を主導してきたのはどこの国なのか?
まぎれもない、我が国です。
トランプ政権を動かした直接のきっかけは度重なる北朝鮮のミサイル実験・核開発かもしれませんが、ここまで同政権を引っ張ってこられたのは、強固な日米同盟の存在に加え、安倍政権の強力な働きかけ、そして、日米の首脳同士の信頼関係があったからこそだと私は考えます。
北朝鮮の立場に立った時に、一番脅威に感じるのは、勿論米国でしょう。
しかし、次に「やっかいな」存在は明らかに日本です。
中露はもとより、韓国の現政権も北朝鮮側にうまく誘導されている現状の下で、日米の首脳間・政府間の強固な信頼関係は我が国にとっては大きな財産であり、北朝鮮にとっては脅威なのです。
だからこそ、北朝鮮は何よりも日本こそを枠組みの中から除外したいと考えているはずです。
我が国にはそれだけの存在感があるということを的確に認識した上で、これまでの路線、すなわち、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動をとるまでは最大限の圧力をかけ続けるという方針を今後も自信を持って堅持すべきです。
追い詰められているのは日本ではありません。北朝鮮です。
国家の平和と国民の命を守り抜くのが政治の最低限の責務です。
このことを肝に銘じ、与党の一員として政府の外交を支えてまいります。