感染症対策について
新型コロナウイルス感染症との戦いが続く中、台風などの災害、中国公船による連日の領海侵入。徹底した危機管理が求められる中、8年弱にわたり、官房長官としてその任に当たってきた菅義偉議員が自民党総裁、内閣総理大臣に就任する運びとなりました。
【感染症対策と経済・社会活動の両立】
菅政権の目下の重要課題は、新型コロナウイルス感染症対策であることは言うまでもありません。国民の命を守ることと経済・社会活動との両立。安心・安全のためにもワクチンや治療薬等の開発は急がねばなりませんが、今のところ、死者数や重症者数は世界的に見て、極めて低位で抑制できています。手洗い・うがい、マスク着用、距離を取って話す、「3密」を避けるなど、国民全体の高い意識によるところも大きいと考えます。
一方、社会・経済活動については、依然として自粛ムードが漂っています。雇用調整助成金の特例措置の延長などを通じ、企業が雇用を守る体制を国として支援しておりますが、人の動きが停滞しているため、観光業、飲食業のみならず多くの業種の経営状況が悪化しつつあり、地域の担い手である中小企業の皆様からお寄せいただく声からも雇用や経営の維持に係る厳しさが増していることを肌で感じます。また、子供や学生は学校行事や授業に、地域の皆様は自治会・町内会活動になかなか参加できず、地域社会にストレスが溜まっています。
私は党内の議論の中で、国としては当面、緊急経済対策を講じ続けると同時に、国民に既述の手洗い、マスク着用などの基本的行動を徹底して頂くことを前提に、「経済・社会活動を徐々に元に戻していく」とのメッセージを政治が発信すべき時期に来ていると、発言してきました。ようやく9月19日からはイベントの人数制限が緩和されることになり、10月からはGo Toトラベルキャンペーンに東京発着も対象となります。皆様には大いに活用して頂きたいと思います。一方、私たちの安全・安心の砦である医療機関の経営が逼迫しています。国としても予備費等を活用して早急な手当をしていかねばなりません。
【将来の感染症有事への対応】
今回の新型コロナウイルス感染症対策において、国や自治体の対応上の様々な課題が露呈しました。危機管理の観点から、新たな感染症のパンデミックを想定した上で、所要の措置を講ずる必要があります。7月に自民党の新型コロナウイルス対策本部に「感染症ガバナンス小委員会(武見敬三委員長)」が立ち上げられ、私は事務局長の立場で、夏場の2カ月間、様々な角度から法や制度の改善策について、大勢の同僚議員とともに精力的に議論を重ねてまいりました。
露呈した脆弱性を整理すると次の通りです。
・明確な指揮命令系統の不在(政府内部、国・地方の関係)
・感染症危機管理に関する専門家の不足
◎情報の問題
・ITの活用不足
・国民と政府との意思疎通(リスクコミュニケーション)の軽視
◎システムの問題
・危機時における制度運用の柔軟性欠如
・個別状況に応じた果断な感染遮断措置の欠落
・ワクチン・治療薬等の研究開発の遅れ
こうした諸課題に対し、①感染症危機を国レベルの安全保障として位置付けること、②所要の法令と組織の速やかな整備、③危機時の研究開発体制の強化と科学的根拠に基づく政策判断、④リスクコミュニケーションの強化といった基本方針の下、9月上旬に、法改正を含む具体的な提言策をとりまとめました。新政権の下で政府が迅速かつ着実に実行するようしっかりとサポートしてまいります。
なお、正式に了承された提言はこちらからご覧ください(少々長めです)。 https://bit.ly/3huAqPr