イノベーション政策の司令塔機能強化

「GAFA」

この言葉をご存知の方は多いはずです。

グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字をとって、「ガーファ」と呼ばれています。

これまでのビジネスのあり方を大きく変える企業、いわゆるプラットフォーマーは米国から生まれることが多いですが、アリババやテンセントといった中国企業をはじめ、各国がイノベーションを起こすべくしのぎを削っています。

 

その中で、我が国の世界におけるイノベーション力が相対的に低下してきているのは以前のブログで述べたとおりです。こうした問題意識の下、自民党の知的財産戦略調査会(甘利明本部長)の下で、イノベーションのエコシステムを築き上げるために、提言を出したところです。

https://bit.ly/2JMiyTd

 一方、イノベーションを喚起していくためには、政策の中身に加えて、その政策を実行していくための強力な体制が必要ですが、現在の政府におけるイノベーション推進体制には少なからず課題が存在します。

例えば、イノベーション政策を実施する部局が林立している点です。

総合科学技術イノベーション会議(通称CSTI)、未来投資会議、健康・医療戦略推進本部、IT戦略本部、知的財産戦略本部等々。こうした中で、扱うテーマが重複し、また、裏返して言えば、組織間の連携が十分に図られていないという指摘があります。

   また、こうした本部の会議は、総理が本部長になっているため、多忙を極める総理が過度に拘束されかねないという課題があります。

加えて、こうした本部は内閣官房などに置かれることが多く、本来、機動的な役割を果たすことが求められる内閣官房に余裕がない状況が生じています。

 こうした問題意識の下に、昨年末に自民党の行政改革推進本部(甘利明本部長)の下に「総合科学技術・研究開発WG」が設置され、その事務局長としてこれまで提言の作成にあたってまいりました。

https://bit.ly/2MrLmiH

 提言の概要は、国家の重要戦略を「経済」及び「安全保障」と位置付け、双方を支えるのが「イノベーション」と整理した上で、イノベーションに関係する本部を整理し、必要に応じ、段階的に機能等を統合していくことを通じ、イノベーションを強力に推進していく体制を構築するというものです。

  • なお、ここで言う「イノベーション」とは、単なる技術開発(狭義のイノベーション)ではなく、研究開発力強化法に定義されているとおり「新たな価値を生み出し、経済社会の大きな変化を創出すること」(広義のイノベーション)として捉えています。

 理想としては、経済政策を推進するための「経済財政諮問会議」。安全保障政策を推進するための「国家安全保障会議(NSC)」。そして、イノベーション政策を推進するための会議ということで整理できれば、国家戦略を推進する上で非常に強力な体制となると思いますが、組織の変革を検討する時は、とにかく丁寧に進めていくことが求められるのも事実です。 

安倍総理への提言手交の様子

https://bit.ly/2JFHwjU

 こうした行政改革は、各省庁にとっては不人気です。

であるが故に、政治も覚悟を決めて断行しなければなりません。

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