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エネルギー政策に関する国会質疑①(2050年カーボンニュートラルに向けて)

昨日、予算委員会の分科会で梶山大臣をはじめ、資源エネルギー庁とエネルギー政策について議論いたしました。

大きな柱としては、

1.2050年カーボンニュートラルに向けて

2.直近の寒波について

3.次期エネルギー基本計画の策定に向けて

の3つです。

●質疑の動画はこちらからご覧頂けます

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51561&media_type=

1432分~ 約30分間です)

私から提起した論点を、上記の柱ごとに分けてブログに掲載します。

今回は、1.の2050年のカーボンニュートラル(CN)に向けての論点を記します。

〇 2050CNについて、菅総理は、「社会経済を大きく変革し、投資を促し、生産性を向上させ、産業構造の大転換と力強い成長を生み出す、その鍵となるもの」と発言しているが、こうした政治的な宣言をする前提として、国民にもっとわかりやすい、具体的なイメージを示す必要がある。2050年の日本がどのような社会になっていると想像しているのか、大臣のイメージを示して頂きたい。

〇 自動走行やスマートシティなど夢のある社会ではあるが、ほぼ確実に言えるのは、電力がないと成り立たない社会であり続けること。2050年の社会像の実現に必要な電力需要の見積もりを、その根拠も含めてできる限り具体的に示して頂きたい。

〇 GDP成長率や電化などの要素のみならず、デジタル化の推進がもたらす影響をもっと真剣に考えるべき。既に示されている試算として、

・昨年6月のBeyond5Gの総務省資料:低消費電力化の技術開発がなされない場合、2030 年のIT関連の電力消費量は 2016年の36倍(現在の総電力消費量の1.5 倍)

・一昨年のJST(低炭素社会戦略センター)の試算:現在の技術のままであると仮定すると、IT関連機器だけで2030年には現在の倍の電力量、2050年には日本も世界も現在の200倍という途方もない電力量に。

今後クラウドの増加、膨大なデータ量を処理するAI、動画、自動運転・遠隔診療に必要なエッジに不可欠なマイクロデータセンター等、需要拡大が予想される中、デジタル化の影響を加味しないときちんとした試算にはならない。こうした要素も考慮して、より精緻に試算する必要があるのではないか?

〇 供給サイドについて、2050年の電力需要を満たすために、グリーン成長戦略では、「一つの参考値」として再エネ5060%と明記。もう少し具体的な規模のイメージを持ちたい。仮に、政府の試算のように、現在の約1.5倍の電力量になることを前提に、その50%を再エネで賄うことになったとする。それを、仮に、すべて太陽光で満たす場合、何㎡分のパネルが必要なのか?すべて風力発電で満たす場合、何機分の発電機が必要なのか?

国土の狭い日本において、再エネの設備や立地が相当な規模になるはずなので、国民に具体的なイメージを示すべき。

〇 グリーン成長戦略では、「一つの参考値」とはしつつも、日本の再エネ割合を5060%としているが、その根拠と実現可能性をどう考えているのか?そもそも各国のエネルギー事情は異なるので、海外、特に欧州を参考とする必要は全くない。また、一つの参考値とはいえ、国が示す数字にはそれなりの重みがあるので、数字の出し方には慎重であるべきと私は考える。

〇 電力需給の両面から見て、再エネが安定供給にどれだけ資するのかを聞いてきたが、私はいわゆる「3E+S」の3E(安定供給、効率性、環境)はすべて同列ではなく、energy security(安定供給)が最も大切だと考えている。一昨年あたりから、エネ庁に対して、デジタル化等も踏まえた電力需要について、様々な前提を置いて、複数のシナリオを作って、試算すべきと提案し続けてきた。

それは、仮に、省エネの技術革新が進まないケースのような悲観的なシナリオであっても電力の安定供給を確保できるようにするため。それなくして、電源別の割合の議論をすることに大きな違和感。依然、そうした試算が出てきていないことは残念だが、2050CNを実現するには必ず必要なことなので、改めてお願いする。

 

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