東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物資防護設備の機能の一部喪失事案を受けて①
東京電力柏崎刈羽原子力発電所における核物資防護設備の機能の一部喪失事案を受けて、急遽、衆議院の経済産業委員会と原子力問題調査特別委員会の連合審査が開かれました。前日に、質疑に立ってもらいたいとの依頼がありましたので、引き受けさせて頂きました。東京電力の小早川社長、原子力規制委員会の更田委員長、梶山経産大臣に対し下記の質疑を致しました。
※ 質疑の模様は下記からご覧いただけます。
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=51741&media_type=
〇 本来であれば、質疑の機会を頂くことはありがたいことだが、今回は不本意でならない。「またか!」。これが多くの国民の率直な気持ちだと思う。先月の予算委員会分科会でも、私は梶山大臣に対して質疑に立ったが、その時に、「カーボンニュートラルを実現するには原発が不可欠。「グリーン成長戦略」に、原子力への依存度を「可能な限り低減する」と書いているのはミスリーディング。国民に対して、正面から向き合い、もっと明確なメッセージを国として出す必要がある」私はそう申し上げた。今回の報道に接した時に、本当にがっかりしたし、正直、怒りが込み上げてきた。今日はその気持ちを抑えつつ、質疑に臨んでいる。
〇 まず、東京電力に伺う。私たちは、福島第一原発の事故を経験して以来、原発については、その再稼働を含め、国民との信頼関係こそが基本であることを学んできたはず。特に、東電の社員の皆さんは、この10年間、失われた信頼の回復に向けて汗をかいてこられた。私の地元千葉県に原発はない。しかし、一昨年、大きな台風に襲われて、大規模停電などの被害が生じた際には、世の中から厳しく批判をされながらも、現場で必死に対応にあたった多くの社員の方々の姿を承知している。そういう姿が信頼関係を築いていく原動力になるんだなとその時は思った。しかし、昨年の9月にID紛失事案があって、その舌の根も乾かぬうちに今回の事案。国民との信頼関係を大きく傷つけることになったと思うが、この責任をどう感じているか?国民に向けて語って欲しい。
〇 次に、規制庁に伺う。今回の案件をめぐり、明確にしなければならないと思うことは、東電特有の問題として捉えるべきなのか?あるいは、わが国の原子力業界全体の問題として捉えるべきなのか?という点。今回のような事案、つまり「重大インシデントに繋がり得る問題の放置」は、わが国の他の電力会社でも過去に起こったことがあるのか、また、これから起こることが容易に想定されうる類のものなのか、規制庁の見解を伺いたい。
〇 次に、東京電力のプレスリリースを読むと、「当該箇所における不正な侵入の発生は確認されていない」とされているが、そもそも、侵入検知設備が故障しているのにどうやってそれを確認したのか?100%なかったと言い切れるのか?東京電力に伺う。
〇 「100%とは言い切れない」のだとすると、もっと事実に即した記述にすべきではないか?安全第一を旨とする原子力発電だからこそ、正確に報告するべきではないか?
〇 次に、核物質防護設備に入ることのできる社員、警備員、協力会社には、いわゆる炉規法の第68条の2で秘密保持義務がかけられ、懲役刑を含む罰則で担保されているが、一人ひとりのいわゆる「バックグラウンドチェック(人物調査)」はどういう形でどの程度行っているのか、答えられる範囲でお答え願う。
〇 「やっている」とのことだが、プレスリリースには、「社員警備員は代替措置に実効性がないことを認識していたにもかかわらず改善していなかった」とされているが、そういう認識の甘い人が通る程度の信頼性のチェックで本当に良いと思うか?